Walk,Melos.

勇者は、ひどく赤面した。

忍耐

 週一でヒトカラした挙句、寂しく歌が上達していくぼくの気持ちが君にわかってたまるか。それでも孤独には寄り添えない。友達がいないわけじゃないんだけどね。90点台しか出せないぼくの十八番をこんどきみにも、聴かしたげる。

 少しずつ大切なものたちを手放していくうちに、ぼくは妙な夢にうなされることが多くなった。もうLINEの通知で過呼吸を起こしそうになる日だって減ったけど、心はなぜだか擦り切れていく。今朝は誰もいない自分の部屋で、自分の精神状態について分析して語っていたけれど、それはもう、今の自分がびっくりするくらい凶暴で恐ろしい自分に出会ってしまった。他人に心を曝け出すたびに、その穴はどんどん大きくなっていく。素直な気持ちをぶつけて衝突することで、きみがまた泣いてしまうなら、表面上、取り繕う笑顔に執着するなら、ぼくはもうこれから、本当のことを言ったりするのは止すよ。もう少し大人になれってことでしょ、馬鹿みたいだけど。

 フォローなんかしてないのに、ときどき流れてくるあなたのTL、見るたび同族嫌悪するけどミュートできないのは、ほんとは心のどこかでいつもあなたのこと気にしてるからでしょって、自分の気持ち悪い感情に気づいて落ち込む。恋なんか、友情なんかじゃないけれど。ちょっとあこがれているというか。それでもあなたみたいになりたいだなんて、1ミリも思わないけれど。

 勝手に私の気持ちを覗くの、やめて。自分のことは自分で決めて。誰かに非難されたからって、泣くな。自分の恋愛は自分で管理しろ。ポエマーになるな。甘ったるい。

泣き腫らす焼き腹須

 今日は蟋蟀を食べた。新宿でぶらぶらしていた私たちは、小学生みたいに目を輝かせながらヴィレヴァンを探索することにした。ぼくの好きなyoutuberが「クソまずい」と渋い顔をしていたお菓子が売っていたり、生理ちゃんの漫画を立ち読みしながらちょっとアレな話をしたり、100日後に死ぬワニの幸福を願いあいながら、僕らは奥地へと歩みを進めた。そんなときに二人は、蟋蟀と邂逅する。

 1000円あったら何買える。プチプラコスメ。上手いラーメン。即売会ならCD1枚。そしてバッタミックス15g。よりによって僕たちはバッタを選んだ。なにか新しい刺激を求めていたのかもしれない。「1匹だけなら」と言いつつ、頭部のかけらをかじって、「乾燥させたサクラエビ!」と、いつもの優しい笑顔を僕に向けた彼女。僕は残されたあとこれだけの蟋蟀やバッタを食べきらねばならない。僕はおどけながら蟋蟀を一匹、ひょっこり口に入れて咀嚼した。「工場の端に落ちてるアレの味」と形容すると、彼女はまた笑う。喧噪であふれるサイゼリヤの一角で、ふと、ずっとこうしていたいとさえ思った。その人は、僕にはもったいないくらいの素敵な友人である。

 巻いた髪はすっかりぺたんこ。雨を嫌いと初めて思った。煩わしい誘いのLINE。母親と食べる生焼けのステーキ。ピリピリするグロス。こんなんでキスが上手くなるっていうのかい。また始まる母親の癇癪。理不尽な叱責。声を殺してなくあたし。タイムラインに流れてきた知らない女の子のインスタの自撮りを見て、また涙。こんなに可愛けりゃ、もっと人生楽しかろ。全身整形したいと思った。そんならもういっそ自分でなくたって構わない。魂も記憶も全部消して、かあいい人に生まれなおしたい。でも、貯金して渡韓する勇気はない。いつかどこかに、こんな汚いあたしでも全身で愛される日が訪れるだろう、という幻想をまだ捨てられないから。斜に構えてる性格とか、実はそんなに嫌いじゃないから。あたしは自分のこと気に入らなくても、ローリーズファーム来て、サマンサタバサ持って、埋没法でぱっちりかわいい二重にして、TDLでジャンプしながら写真撮ってインスタに載せて♡待ってるようなキラキラした生活はしたくない。そういう人はとても輝いていて楽しそうだし、人生充実しているだろうけれど、私はそうはなれない。ぼくはひねくれている。僻んでいるのだ。羨ましい。

 2年生からの生き方について考えなければならないのに、やることは山積している。僕はこれ以上人生を厭わないように、自分になにか救済処置を与えなければならないのに、その方法は見つからない。自分のしたいことや未来を明確に掴めない。確立できない。サカナクションを聞きながら、若さを消費している。全部無駄ではないけれど、周り道ばかりだ。また、ウィリホの一階で一人で寂しく飯食う1年を送ることになるかもしれない。つまらないプライドなんざ捨ててしまえばいいのに。もう1年生きられるかしら。

今日のこと

 今日はやたら人と目が合う、というか目を向けられるというか、、?私はいつも下を向きつつ歩いているので、人の目なんか、一瞬も見ないのに、電車待ってるときなんかに、わざわざ顔をのぞき込んでくるのはおかしい。今日はいい感じの顔ではなかった。でも目はいい感じに死んでいた。単に疲れていただけ。

 今日は、ボイスサンプルの収録へ行った。向かうように指示された先には、奇妙な建築構造をしたビルディング。周りには、その建物を撮影している人がちらほら。渋谷の駅近、足代ばっかりかかってたまんないから、少しうんざりしていた。詳しくはかけないけれど、私は、なんだかやっぱりこれは詐欺であるような気がしてならない。事前に、私には経験がありません。といっても、cmやオーデションを勧められた。君ならできる、と。嘘くさいな。その経験を積むために、とワークショップを勧められて、そこで金銭を要求されるのかもしれない。偉い人?がでてきて何か話していたけれど、あまり真剣には聞いていなかった。僕に会うために、来たと。いやいや、ひどい嘘だな。こういうのは、どうせ詐欺だからという構えでいたほうが、あとでショックを受けずに済むと思う。オーデションなんかいいから、私はプロなんぞ目指していないから、せめて足代の元が取れる分くらいの依頼をください。

 僕は疲れています、気力がない。誰も信じないけど。今日は、一人で映画を見に行きました。初めて、寂しいと感じた。あれ、グッドバイを観た。揺らめくカメラワークと、本をめくるような場面転換、ナガイさんの演技、が、よかった。ただ、この作品と、太宰の原作とは、完全に別のものだと割り切ってみるべきだと思う。太宰だったら、あんな結末にはしない。ネタバレだけど、私的には、後半の流れは、蛇足であるように感じた。幸せすぎる。もしも、もっと太宰に寄せて書くのなら、どうしようもなく、だれも救われないけれど、ただそれは完全なるバッドエンドではない。そんな脚本にするといいかもって、別にそういう趣旨の映画ではないだろうが。

 僕には真剣に小説家を目指していた時期があった。原稿用紙を100枚くらい買って、おかしな小説ともいえないような作品をたくさん書いて、ときどき友人に読んでもらったりもした。高校2年くらいのこと。代表作は、とある小説家と、そのお妾さんの悲恋話。馬鹿げてる。それでも私はそのとき、真剣で本気だった。でも、そのうちに、気づく。自分は、所詮、薄っぺらい、人のまねっこを煮詰めたような、作品しか書けないと。言葉のセンスも、皆無。ある日、本当に突然、絶望してしまって、やめちゃった。

 後輩は、もし私に後輩ができたとしたらね、敬語なんか使わなくたって、構わないよ。日本て、年功序列の考え方がどこにでも浸透しているから、簡単には言えないけれど、フォーマルでない場なら、本当に、敬う感情を持てる人にだけ、使えればいいと思うよ。僕はね、もう正直、うんざりしてるんだ。

どきどき

 レジ打ちのとき、たった一人に接客するたびに息が切れてしまうことを、親は信じない。自律神経という言葉を出せば、甘えだとに睨まれる。ぼくは健常者であることを強制されている。昔から、そうだ。なぜ、素を出して話さないの、と問われる。僕は君みたいにきれいに生きられないのさ。「壊れるのが怖いから」そういうと、そっか。わかる。と、言う。それだけでいいよ。君は所詮、僕の友達。

 夜のにおい。川の流れ。丸い石。とても楽しかった。見るもの全てが、きらきらして、みえた。だけど、誰といても、話していても、たった一人であるような気がした。自分が無能であるがゆえ、来るべきではなかったとさえ思った。わかっていた、僕はいようがいまいが、何も変わらない。役立たず。孤独だったけれど、楽しかった。久々に、少し笑った。

 幻滅。恐怖。嫌悪感。買ったざくろは腐ってしまった。コンビニの前でたむろする高校生。僕のことを見て、どうしてそんなにニヤニヤするの。泣きたくなった。すぐそばに、バス停。ぼくに声をかけてくる一人の男の人。曰く、バスに乗るときは、声をかけてください、と。高い声で。ニヤニヤしていた、乗りません、と言って立ち去った。

 君は私の目を大きいと言う。どうせなら、もっと、深みのある静かな目を持ちたい。だとすれば、「明るい未来!」「楽しい生活!」みたいな雰囲気を出さずに済むかもしれない。僕は純粋じゃない、優しくない。でもたばこは吸わない。

 寝なかった。少し話したり、黙ったりした。認識学の話や宇宙の話をした。時間に関する僕の見解は、少し難しかったらしい。勉強の仕方や、夢の話。こんなぼくにも、夢はあるのさ。だけど、それは、本当にしたいことを少しずつ諦めた結果だった。死ぬこと。さっき感じた嫌悪感、これを話したときは少し怒られた。ぼくはべつに構わないで話し続けた。いろんな理不尽のせいで、ぼくは両足の付け根がぼろぼろになった。手にも、いろんな傷がついてしまった。それを話さずにいられるわけがないだろう。誰も褒めてはくれない。当たり前のように生命を享受する。それでもぼくは怒らずに、洗い物をしたり、片付けをしたりした。ただ単に、なにもかも諦めていた。何にも、分かり合えないんだと理解した。

 恋しくなった。だれも気付かないから。もう、くだんない話をしているの、聞きたくなかったから。もう、なんか全部どうでもよくなって。石の上なんかに乗って、汚い話をしているの聞かされるの、最悪でしょ。凍ったおにぎり、新鮮なざくろ。あのときまでは、よかったのに。言えないけど。言えないけど。そんな僕のこと、寝てないからメンタルが、とか言う。許さない。

 帰り際、ぼくの小指のネイルに気づいてくれる。黒じゃん。ちょっとうれしいじゃん。別にそれだけ。

 いろんな人に会いすぎて、最近は、少し疲れた。でも、少しずつ、自分のことがわかってきた。僕はあのとき、話して怒られたこと、反省した。ぼくはまだまだ君より子供だから。ごめんなさい。ぼくは、もうすこし、反省して、素直になりたい。

 すっぴんで乗る山手線はもう、いやいやだ。生きるか死ぬかなんて、他人かどうこう言う問題でないと思うよ。うわべだけの同情はいらない。

雨の日の結納式 その1

 雨の日が訪れるたびに、僕は☓☓☓との、あの、冷たく深い夜のことを思い出す。君、ここは正直にいかう。僕はその日、珍しく酩酊してゐた。いつものやうに、せせこましい仕事部屋で飲みながら、嗚呼、書けない!胸が痛いねえ、ゲホゲホ。まあ、喀血。いけないわ。いつそ、死んでしまいたいねえ、だなんて、ご冗談ひとつ、ふたつ。これは毎度のことなんだ。飲むと調子づいて、あること、ないこと、ネ。もつとも、肺に水がたまつて、毎晩くるしかつたのは、ホントウさ。ああ、☓☓チャン、そうそう、君も知つてゐるだらうね?彼女は僕の痩せた背中を優しく擦りながら、まあ、お止しになつて下さいまし。あたくし、あなた様だけが頼りなんですのよ、だなんて言うんだ。憎らしいだらう。僕じつは、彼女には少しウンザリしてゐたんだけどね。まあ、どだい、何が悪いかって、僕が悪いのさ。こんな色男だもの、みんな女のひとは、たとい旦那が在つたつて、そんなことはお構いなしに、僕に恋しちやうのだもの。僕だつて、苦しい。待つ身より、待たせる身が辛いのさ。あ、君。今のはひとつ、次の全集の見開きにのせるエピグラムにどうだらう。はは、冗談さ。サ、腰を下ろして呉れ給え。だけど、さ、☓☓チャンたら、熱の入れ方が違うんだ。僕に首つたけ。お金も全部都合して呉れた。実はそれが、美容学校を開くための大事な蓄えだつたということ、僕はこつそり知つてゐる。客を通すのにも、いちいち介在してきて、まるで本妻気分。僕、正直息が詰まつちやつた。おまけに彼女は、カリをいつも忍ばせてゐて、ときどきちらつかせてくるものだから、たまつたものじゃないさ。だから、ホラ、あの、読んで呉れたかい。僕の新作。あの作品はね、僕にとつて、すべてをやり直す契機になるように、書いたんだ。彼女は学が有るから、屹度読むだらう。それを狙つたんだ。しかしね、☓☓チャン、あの夜の数日前から、おかしなことを言い出すやうになつたんだ。

合宿免許 持ち物リスト

合宿免許 持ち物リスト

☐ 本籍地記載の住民票(発行3か月以内、マイナンバーの記載がないもの)

☐  身分証明書(健康保険証など)

☐ 印鑑(シャチハタ以外の朱肉をつけて押すタイプの認印)

☐ 行きの分の切符領収書

☐ (学割証明書→学生のうちJRを利用した場合、大学より手配する)

☐ 着替え(3~4日分)

☐ 洗面用具(歯ブラシ、タオル、ドライヤー、ブラシ、かみそりなど)

☐ 筆記用具

☐ ポケットに入る小さいメモ帳(実技で教官に指摘された点を書き留める用)

☐ ノート

☐ 現金、キャッシュカード類

☐ 寝具(スエットなど)                                                                            

☐ 防寒具(現地、大変寒くなることが予想されるため。カイロなどもあると便利)

☐    トートバック類(小さな荷物類をいれて持ち運ぶ用)

☐ 娯楽用品

☐ 洗濯用品(あると便利。洗剤やネットなど)

☐ タオル(3~4枚)                                                           

☐ 入浴用品(石鹸、シャンプー、リンスなど)

☐ 充電器など

☐ ハンカチ、ティッシュ

☐ ビニール袋

☐ 折り畳み傘

☐ 化粧品類

☐ (必要に応じて)現地の地図

☐ キャリーケースなど

☐ (必要に応じて)スリッパ

☐ 腕時計

支離滅裂な散文

 あらもうこんな時間。夜の3時半をまわりました。

一昨日から昨日にかけて、母親との確執は深まるばかりです。

しかし、大学退学は免除してもらえました。(よかったね!)

ここで以前より薄々気づいていたことに、今回の件を以てとうとう確証を得てしまったことは、果たして幸か不幸か。

 母も私も人間です。毎秒流転する感情を、互いに完全に理解しあうことは不可能である。しかし、人間は特異的とも呼べるであろう、言葉を所持しています。そして、その唯一のツールを用いて、分かり合おうと努力するでしょう。

 だけどその言葉がいつだって本当だとすれば、世間は破綻してしまうかもしれません。人間に、適度に建前を使いわける能力があってよかったね。

 私は母に、自分に起こったことすべてを、洗いざらい打ち明けることはしません。母もまた、その身に抱えることを、ほとんどといってよいほどに、秘匿します。私たちは、このように、ただうわべだけを取り繕って、生活していたのでした。そのことに気づいた私は、あまりの奇妙さに、頭を抱えました。吐き気さえ起きた。お互いを知ろうとも、歩み寄ろうとも、したことはなかったのかもしれません。

 私は知る限り、身寄りは母しかいないから、どこへも行けません。ただ、今こうしてともに住んでいることで、お互いに何か、精神的なメリットが存在するかと問われて、頷けないのは、なんとも悲しいことです。こうなるのであれば、私は、少しだけ、東京の大学を選んだことを悔やまなくてははならないかもしれませんね。

 いつからでしょう、私は、他人の感情を、言葉を、パラフィン紙越しにしか、伝えようとも、感じようとも、しませんでした。そうすることで、感情が摩耗することから、逃避することができたからです。いつか占い師にいわれた、「あなたは失敗することを、どこかで望んでいる」という言葉が、思い出されます。

 

 明日は、来ます。何も変わらないでしょう。私たちは、道化をすることでしか、自分を守れないのです。笑うことでしか、隠せないのです。母は、これまで通りに、私も同じ方法で、繰り返す毎日を消費するでしょう。こうして、脳が委縮するような感覚に酔いながら感情を文字に起こすことでしか、精神を保つことが出来ない脆弱な私を、本質的に救済するものは、ありません。あるのかもしれませんが、それは、一時的なものに過ぎません。結局は、自己の中で変化を生み出すような何かを発見できないうちは、それはまだ、成長という意味から、外れたままであるように思います。

 手放すということを私は望みません。だけど、私は常に変化を求めます。あなたの細胞が全部入れ替わってしまって、それが以前のあなたと同じ存在であるのか、なんて、そんなことは、認識学的な話に過ぎないのです。時間だって、人間の主観的な認識でしかないでしょう。そんなものに、完結させてしまうのは、少し短絡的で、凡庸だけど。

 私は明日も変わりません。真っ黒い、襟のあいたワンピースを着て、傘を差しながら、活動写真に酔いしれて、今宵に巡らせた哲学の網なんて、すっかり忘却してしまうのです。私は、最後まで、責任を持てるかしら。